戦前教科書 朗読 ハナハト讀本 尋常小學國語讀本 巻四 1.お祭

ハナハト讀本

尋常小學國語讀本 巻四
ハナハト讀本 昭和3年発行 小学2年生国語教科書

1.お祭

氏神様の森で、朝から太鼓の音がします。今日はお祭りです。大きな字を書いたのぼりが澄み切った空に立っています。

お昼過ぎに、おばさんのうちから おとよさんと太郎さんが来ましたので、三人でお宮へ参りました。

鳥居の辺りは、道の両側に、色々な店が並んでいます。おもちゃやには ラッパや刀や飛行機などが並べてあります。ほおずきや風船玉を売る店も出ています。また飴屋や菓子屋では はやし立ててお客を呼んでいます。

ちょうど人の出盛りで、お宮の鈴がひっきりなしに鳴っています。私どもも鈴を鳴らして拝みました。

お宮の裏では相撲が始まっていて「わあ わあ」と はやす声が聞こえます。

あちらこちらに子どもの鳴らすラッパやふえの音もして、たいそう賑やかです。

今年は田がよく出来たので、晩にはそのお祝いの花火が上がるそうです。


日本のお祭りの起源は
歴史書の古事記(712年)にも「天の岩戸隠れ」という神話に記されています。
世を照らす太陽神アマテラスオオミカミは、訪ねてきた弟スサノオノミコトが大暴れし手に負えず、天の岩戸に隠れてしまい、世界は暗闇に包まれあらゆる災害が起こります。
そこで、アマテラスになんとか出てきてもらおうと、踊りの名手アメノウズメが踊り狂います。これには神々も高天原に響き渡るほど大爆笑!みんなで踊りだしました!
「なんだか外が楽しそう……?」とアマテラスも賑やかな様子に誘われて、世界は光を取り戻すことができました。
これが神社の祭りの起源といわれる有名な「天の岩戸隠れ」のお話しです。

四季を持つ日本では、春夏秋冬それぞれの祭りが生み出されてきました。
春は田植えの季節、秋はその収穫の季節。春祭りでは豊作を願い、秋祭りでは豊かな実りに感謝します。夏は都市部に疫病が流行する季節で、これを神のたたりと考え、祭りで疫病退散、厄除けを願いました。地方では稲を食い荒らす害虫を追い払い、台風除けを祈願する祭りが多くなります。
盆踊りは、死者を供養する念仏踊りが起源です。

そして収穫を終えた農閑期の冬には、田畑の神をねぎらい、新しい年を迎えるための「新春祝い」に備えます。けがれを落とすための裸祭りや火祭りが代表的です。

このように季節によって違うお祭りですが、どの祭りにも日本人の「生きるための願い」がこめられています。その願いは時代を経ても変わることはなく、だからこそお祭りは代々守り継がれてきたのです。『まっぷるトラベルガイド』https://www.mapple.net/s_article/omatsuri より引用

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