戦前の教科書 『太陽』ハナハト讀本 版

ハナハト讀本

​​​尋常小学校 国語讀本 巻11​ 昭和4年発行 ​小学六年生教科書​
第1課 太陽​​​​

地球上に存在するもので、太陽の影響を受けぬものは一つもない。太陽の光と熱とがなくては、我々人間は勿論、あらゆる生物、一として生存することは出来ない。これほど我々に重大な関係のある太陽とは、一体どんなものであろう。一口にいえば、白熱の状態にある一大火球で、之を形造っているものは、液体に近い気体であろうという。そうしてその差し渡しは35万4千里、即ち地球の109倍余りに当たり、その容積は地球の130倍に当たっている。温度は表面で約6,000度、内部に入るに従って益々高い。光の強さに至っては非常なもので、之を燭光でいえば13の下に零を26も付けて現さねばならぬ。

望遠鏡でみると、太陽の表面は全部が一様に輝いているのではなく、光の強い部分もあれば弱い部分もあり、又所々に黒点​といって黒く見える所もある。この黒点は多分表面に生ずる渦巻きであろうという。そうしてその数や大きさは、凡そ11年余りを周期として増減している。

ところがこの大きな太陽も、夜の空に銀の砂をまいたように見える小さな星の一つと同じものだという。つまりこの宇宙には、あの太陽のほかに、これと同じようなものが尚数限りもなく存在しているが、ただその距離の遠いために、あんなに小さく見えるのである。しかも我々に最も近いあの太陽でさへ、地球からは凡そ3,800万里も離れている。今仮に一時間50里の速度で飛ぶ飛行機に乗って行ったとしても、太陽に到着するには87年掛かるのである。​

これは国定教科書第三期のハナハト讀本の『太陽』です。
第4期サクラ読本にも『太陽』が取り上げられておりますが、そちらはまた違った文面になってます。
見比べると興味深く思います。いずれサクラ読本の『太陽』も紹介したいと思います。

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